2025.07.10 「ストレス?感じたことがない」——ストレス対処と耐性を考える(講演後にいただいた質疑応答から)
タグ:ストレス解消の工夫, メンタルヘルス, 心のメンテナンス

先日、品川ロコー株式会社様で講演をさせていただきました。
ご参加くださった皆様が非常に関心を持って熱心に耳を傾けてくださり、私自身にとってもとても有意義な時間となりました。
講演後にお声掛けくださったお二方のお話が大変印象的で、これは多くの方にも考えるきっかけになるのではないかと思い、ここでご紹介したいと思います。
まず、
《「ストレスを感じたことがない」というの話》
Aさんという方がこんなふうに話されました。
「ストレスをなくそう、ストレスはよくないと言う話はよく聞くけれど、私は今までストレスというものを感じたことがないんです。
もちろん、近しい友人には『それって、気づかないうちにためてるかもしれないから危ないよ』と忠告されるんですけどね。
寝たら忘れるし、気分を変える工夫もしてるし、そもそも、他人がストレスと感じているようなことが、私にはあまりそう感じられないんですよね。」
この言葉を聞いて、私は改めて「ストレス」とは何か、そしてそれにどう向き合うかを考えさせられました。
《ストレスを「感じない」のは、危険か?それとも強みか?》
まず一つ目の視点として、「ストレスを感じない」ということは、
自覚のないままストレスを内面に蓄積してしまうリスクがある、という点です。
身体や心の限界に気づかないまま頑張り続け、ある日突然ガス欠になる、という事例は少なくありません。
一方で、Aさんのように、「そもそも他人がストレスと感じることを、あまりストレスと感じない」という人も確かに存在します。
これはストレス耐性が高い人の特徴のひとつと言えるでしょう。
どのような状況でもあまり動じず、自分なりの捉え方や心の距離感を保てる人は、社会的なストレスにも強く、自然体で対応できるのです。
さらに注目したいのは、Aさんが
「寝たら忘れる」「気分を変える」という言葉の中に見せたような、
ストレス対処能力の高さです。
無意識のうちに、自分にとって有効な“切り替えスイッチ”を持っていて、それを日常的に実践しているのです。
《「ストレス耐性」と「ストレス対処」は別のもの》
ここで一つ押さえておきたいのは、ストレス耐性(もともとの強さ)とストレス対処能力(自分でできる工夫やケア)は別物であるということです。
ストレス耐性は、ある程度は性格特性や気質に影響されます。
遺伝的要素や成育環境の影響も大きく、自力で変えるのは難しい面があります。
しかし一方で、ストレス対処能力は誰でも高めることができるスキルです。
少しの意識と工夫によって、自分の「ストレスとのつきあい方」を変えていくことは可能なのです。
《代表的なストレス対処法(セルフケアのヒント)》
ここで、日常的に取り入れやすいストレス対処法をいくつかご紹介します。
◆リラクゼーション:深呼吸、瞑想、ストレッチなど
◆感情の整理:日記を書く、自分の気持ちを言語化する
◆気分転換:自然に触れる、音楽を聴く、創作活動をする
◆身体を動かす:散歩、軽い運動、ダンスなど
◆対話する:信頼できる人に話す、カウンセリングを受ける
◆自己への労い:「よく頑張ってるね」と自分に声をかける
◆時間管理:休息の時間を意識的に確保する
大切なのは、自分に合った方法を見つけておくこと。
あらかじめ「自分がしんどくなったときにこれをすれば少し楽になる」という
選択肢をいくつか持っておくと、不調の予防にもつながります。
「ストレスを感じない」という人の話から見えてくるのは、
人によってストレスの感じ方や対処の仕方がまったく異なるという現実です。
そしてそれは、どれが正しい/間違っているという話ではありません。
ただ一つ確かなのは、ストレスと無縁で生きていける人はいないということ。
だからこそ、普段から自分の感情や身体の声に耳を傾け、必要に応じて
自分なりの“対処ツール”を持っておくことが、健やかな日常につながるのではないかと感じています。
次回は、もうひとつの興味深いエピソードをご紹介しながら、「ストレスの向き合い方」についてさらに掘り下げてみたいと思います。

