2025.11.19 【11月17日安全講演レポート①】ヒューマンエラー×心理的安全性(責める空気を変える)
先日、ダイハツ工業様にて「ヒューマンエラーを脳から理解する」をテーマにお話しする機会を頂戴しました。
会場では、多くの方が真剣に耳を傾けてくださり、皆さまの安全意識の高さと現場での取り組みへの熱意が強く伝わってまいりました。
私にとっても、非常に有意義で刺激に満ちたひとときとなりました。
講演後の質疑では、現場で実際に直面されている課題に基づくご質問を2つ頂きました。
その1つが
「ヒューマンエラーが起こった際、どうしても“誰がやったのか”という空気になってしまう。職場の雰囲気を変えるにはどうすればよいか」
というご質問、もう一つは
「やるべきことがわかっていても、つい後回しにしてしまう行動をどのようにすれば改善できるか」
というご質問でした。
今日はな頭一つ目の「ヒューマンエラーが起こった際、どうしても“誰がやったのか”という空気になってしまう。職場の雰囲気を変えるにはどうすればよいか」について補足説明させえていただきます。
当日私は、
➀心理的安全性を育てる組織文化の重要性、
➁リーダーが率先して議論の方向性を“個人からプロセスへ”と舵取りする必要性、
そしてエラー要因は多層的かつ相互作用的であることから、
➂客観的・システマティックに原因分析を行う姿勢が不可欠である点をお伝えしました。
本日のブログでは、このテーマをさらに深め、
「責める空気をどう変えていくのか」について、実践的な視点を交えて解説していきたいと思います。
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◆◆◆心理的安全性を育む“文化の芽”を大切にする◆◆◆
心理的安全性は一朝一夕には育ちません。
しかし、エラーが起こったときこそ、組織文化を変えていくチャンスです。
◆発言を否定しない
◆エラーをオープンに語れる空気を作る
◆事実ベースで話す
◆攻撃的な言葉が出たらリーダーが方向性を戻す
これらを積み重ねることで、
「ミスを報告しても責められない組織文化」
が徐々に形成されます。
これが組織の心理的安全性の“萌芽”です。
◆◆◆ 話し合いの可視化と記録が重要◆◆◆
議論の空気を変えるためには、何を話したかを可視化することも効果的です。
◆発生状況
◆関連する環境要因
◆プロセス上の弱点
◆再発防止策
◆優先順位
これらをホワイトボードや付箋、オンラインツールで整理し、記録として残します。
個人批判はプロセス改善のデータにならないどころか、組織を萎縮させてしまう“非建設的な情報”です。
分析に必要なのは、
個人ではなく状況・構造・環境のデータなのです。
こうした記録を蓄積していくと、組織独自の「ヒューマンエラー対策データベース」ができ、改善の質が大きく向上します。
◆◆◆ブレインストーミングとの共通点◆◆◆
エラー分析会議をうまく運営するには、“ブレインストーミングの原則が参考になります。
ブレインストーミングには
◆批判禁止
◆自由な意見表出
◆質より量
◆結合改善
という4原則があります。
これはヒューマンエラーの議論にも有効です。
特に「批判禁止」は、個人責任を追及しない空気を作る上で非常に役立ちます。
また、原因案を“量として”出していくことで、多面的な分析が可能になり、複合要因を見逃しにくくなります。
◆◆◆まとめ:責めない会議が、組織の未来をつくる◆◆◆
<1>エラーを責める空気を変えるには、リーダーが
「個人ではなくプロセス」
「批判ではなく改善」
へと方向づける姿勢を徹底することが出発点です。
<2>そして、議論を可視化し、事実・プロセスを記録していくこと。
これは、心理的安全性を育み、組織に蓄積される“改善の知恵”を増やすことにつながります。
エラーは、組織がより強くなるための学びの素材です。
責めるのではなく、活かす。
そのための仕組みづくりこそ、真のヒューマンエラー対策と言えるでしょう。

