コギト・ブログ

2025.06.17 点検帳票を知識資産に変える…チェックリストのデータベース化で安全の現場力を底上げするヒューマンエラー分析

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会社の集合知_チェックリストの活用_コギトラボ

先日、元古鉄工株式会社様にて脳科学と心理学の観点から、心理的安全性やヒューマンエラー、神経回路に焦点づけた講演の機会を賜りました。
拙いお話にもかかわらず、懇親会では多岐にわたるご質問と対話の場を設けてくださり、皆様の率直な疑問やご関心を共有いただけたことは、私にとっても大きな学びでした。
ここに改めて御礼申し上げます。

【エビデンスに基づく「可視化」の重要性】
コギトラボでは、いかなる支援も
エビデンスベース を基本理念としております。
現象を数値化・構造化し、組織内で共有できる形に
「見える化」することこそ、再現性のある改善へとつながると考えるからです。
講演では、ヒューマンエラー要因を整理する枠組みとして
m-SHELモデル(Management/L1/Software/Hardware/Environment/L2)をご紹介いたしましたが、

「モデルをすぐに現場で使えるチェックリストの形にできないか」

とのご要望を頂戴いたしました。
確かに、概念を実務に落とし込むためには、
評価指標を「ファイル]という器に納め、事実を一元管理できるデータベース化が不可欠です。

【汎用サンプルチェックリストの試作】
そこで、Managemennt(マネージメント)】運営・管理の部分について、汎用版チェックリストの様式の作成を試みました。

ヒューマンエラー汎用分析シート_コギトラボ

【運用ポイント】
運用ポイントは以下の通りです。
1.記入タイミング
◆事故・ヒヤリハット発生直後の原因分析会議
◆月次安全パトロール・内部監査時の予防チェック      

2.評価方法
◆✔/✖ なら「✖」を赤丸で可視化
◆リスク度は1(低リスク)~5(高リスク)で数値化し、合計や平均で優先度を決定    

3.改善の落とし込み
◆“✖” や 4‑5 点の項目は是正期限と責任者を右欄に必ず記載
◆再発防止策を m→L1→S→H→E→L2 の順に多層で検討すると効果的
          
4.デジタル化
◆Google フォーム等で入力→自動集計
◆過去データと比較し、重点管理項目や改善の定着度をモニタリング

各会社の実情に照らし合わせて、適合的に作って行くことが望まれます。

【チェックリスト導入のメリット】
m-SHELモデルなどを活用して原因を切り分けるチェックリストを導入するメリットとして以下の6点をまとめました。

➀包括性
まず、一面的な原因追究に陥らず、組織・設備・人・環境を横断して要因を洗い出せることにあります。

➁標準化
それから、誰が点検しても同じ視点・手順で評価でき、バラつきを削減できて、かつ合算データで傾向分析が容易になります。

➂可視化
✔/✖ や 1-5スコアを付けることで、高リスク項目を瞬時に把握でき、、是正優先度を明確化することができます。

➃教育・OJT
新人もベテランも同じフォーマットで点検することで、経験値に依存せず、暗黙知を形式知化して即実践力につなげることが可能です。

➄PDCA 循環
点検→是正→再点検を繰り返しやすくなります。

➅安全文化の醸成
「言語化 → 記録 → 共有」をルーチン化して事故報告や相談のハードルが下がり、現場発信の改善提案が活性化可能です。

【鉄工・製鋼・金属加工向けヒューマンエラー分析シートの試作】
チェックリストは一般的な、どのような会社でも流用可能な汎用のリストですが、
当然業種ごとのチェックリストを作ることも重要です。
そこで鉄工・製鋼・金属加工向けヒューマンエラー分析シートのManagemennt(マネージメント)】運営・管理のサンプルを作ってみました。
例えば、⇓のようなファイルが考えられます。

ヒューマンエラー鉄工所用分析シート_コギトラボ

【集合知としてのデータベースの活用】
チェックリストはあくまでも
集合知を育むプラットフォーム としての第一歩にすぎません。
データを蓄積・分析し、
業界横断で知見を共有してこそ、真の安全文化が根付きます。

コギトラボは今後も皆様からのフィードバックを基に、より実践的で現場に根ざしたツールへと改良を続けてまいります。

結びに、日々安全と品質の最前線でご尽力される皆様のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。
本記事が現場改善の一助となれば幸甚です。
どうぞご安全に。

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