2025.02.10 「何を言えるかが知性、何を言わないかが品性、どう伝えるかが人間性」
タグ:エグゼクティブ・カウンセリング, メンタルヘルス, 会社のメンタルヘルス, 心のメンテナンス, 組織のメンタルヘルス
みなさま、こんにちは。コギトラボの水戸くみるです。
私はコギトラボではカウンセリングの一環としてエグゼクティブ・カウンセリングを提供しています。
ここでは、エグゼクティブの皆様が自己理解を深め、より卓越したリーダーシップを発揮できるよう、専門的な視点から伴走するサポートを行っています。
また、もう一つの側面として、「ムーンサークル」という事業を展開し、リサーチ・コンサルティングを行っております。
ここでは、修士論文や博士論文の執筆に取り組まれる方々、ならびに研究者の方々を対象に、研究の質を高め、より深い洞察を得るための支援を行っております。
前者では、ご自身がエグゼクティブ(経営者やリーダー)であることを自覚しつつ、
「だからこそ、客観的に自分を見つめ直したい」という意識をお持ちの方がほとんどです。
謙虚さを保ち、特別扱いを要求することなく、私たちに真剣に向き合ってくださる方が多いのです。
ところが、リサーチ・コンサルティングの領域では時折、
「私は社長だ」
「私は忙しい」
というような発言とともに、
「私はもっと敬意を払われるべきだ」
という態度で臨まれる方と出会います。
もちろん、社長や役員といった責任の重い立場を得るまでには相応の努力や、事業承継などの背景があるものです。
しかしそのような方の中には、周りの人々への配慮が欠け、
「自分は特別扱いされるべきだ」
と考えてしまうこともあるようです。
実際、私はこのような姿勢の方からのご依頼はお断りすることがあります。
立場を得たのに周囲を見渡せないのは、その方ご自身にとっても大変残念なことだと感じるからです。
まさに、「何を言えるかが知性で、何を言わないかが品性、どう伝えるかが人間性」という、インターネットやSNSで広まった言葉を体現しているように思います。
【何を言わないかが「品性」を映し出す】
特に心に留めていただきたいのが、
「何を言わないかが品性」という部分です。
相手を批判したり、何かを要求したりするとき、それ自体が必要な場面もあります。
しかし、感情のままに言葉を突き付けても、建設的な結果にはつながりにくいでしょう。
「これは本当に言うべきか」と一呼吸置いて考え、相手や状況を尊重することが“品性”につながるのだと思います。
人はそれぞれ、感情の起伏の感じやすさや、湧き上がった感情をコントロールする力が異なります。
ですから、自分の感情特性や性格傾向を把握することが先決です。
まずは冷静に自分を見つめ、必要であれば専門家や周囲の信頼できる方から客観的な意見をもらいましょう。
【どう伝えるかが「人間性」を表す】
(The true test of a man’s character is what he does when he has power.)
「どう伝えるかが人間性」というのは、言葉の選び方や伝え方次第で、人間の思いやりや包容力が表れることを示唆しているのではないでしょうか。
エグゼクティブとして組織を率いる立場であればこそ、言葉選びの大切さは何倍にも増してきます。
実際、エグゼクティブの周囲には、遠慮から本音を伝えない人が多くなる場合が少なくありません。
その結果、“裸の王様”のような状態に陥るリスクも高くなるのです。
ここで思い出したいのが、英国の政治家エドマンド・バークの有名な言葉です。
「真の品性は、人が権力を手にしたときにこそ試される。」
立場や権力を得た途端に、周囲への配慮や謙虚さを失ってしまう人もいれば、さらに人徳を磨き、良い影響力を発揮する人もいます。
どちらの道を選ぶかは、その人の“品性”や“人間性”によるのでしょう。
ドイツの文豪ゲーテも、こう語っています。
「人の品性は、その人がどんな批判をするかによって分かる。」
(A person’s character is revealed by what they criticize.)
誰かを批判するとき、どのような態度と言葉を使っているのか。
そこにこそ、その人が大切にしている価値観が垣間見えるのだと思います。
【おわりに】
一度エグゼクティブという肩書を得ると、周囲が遠慮して率直なフィードバックをくれないことも多くなります。
しかし、そうしたときこそ、「何を言えるかが知性、何を言わないかが品性、どう伝えるかが人間性」という言葉に立ち返ってみてはいかがでしょうか。
自分がどのように振る舞い、どんな言葉を発し、どんな言葉を飲み込み、そしてどう伝えるか。
そこに“知性”“品性”“人間性”が余すところなく映し出されるのではないかと思います。
もし、この問いかけがご自身を少し俯瞰的に見つめ直すきっかけになれば幸いです。私自身も、皆さまのお力になれるよう、引き続き学びを深めてまいります。
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コギトラボでは、エグゼクティブ・カウンセリングやリサーチ・コンサルティングを通じ、みなさまの新たな視点や成長のサポートをさせていただいております。
ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。