2020.03.25 高次脳機能障害_人格・性格の変化
タグ:介護のヒント, 介護の工夫, 認知機能, 高次脳機能障害
高次脳機能障害は
交通事故などの外傷や、
脳血管障害の後遺症などで起こり、
場合によっては
内科系の病気の二次障害として
起きる場合もあります。
高次脳機能障害というと「機能」という言葉に引っ張られるきらいがあり、
記憶障害や注意障害、書字障害などが一般に知られていますが、
「性格・人格の変化」 も
高次脳機能に見られる一つの障害です。
記憶障害などは、障害として周りの人が理解しやすいのですが、
性格・人格の変化はなかなか
「障害」として認識されにくい困難さが
あります。
全く別人に人格が変わると言うことではなく、
対人関係や生活習慣の一部ににネガティブな影響が出る ので、
ストレスでイライラしてるとか、
自暴自棄になってるとか、
いわゆる普通の性格の「軸からズレた」とと言う認識を持ちやすいです。
しかしながら、
高次脳機能障害としては、
むしろ「軸が変わった」
と捉えた方がわかりやすいと思います。
ですから、いくら注意しても理解できない。
見当識障害の延長と考えればわかりやすいです。
例を挙げると、これまでは非常に几帳面で整理整頓もちゃんとしていた人なのに、急にだらしなくなったりします。
ある方は脳血管障害は軽かったものの、性格変化で、車の中はハッチバックから後ろの席までゴミ箱のように不要なものが積まれて、コンビニで買って食べたお弁当のからもため込むようになり、車を開けると腐臭がするような事態になりました。
またある方は、家の掃除を全くしなくなり、土足でないと上がれないほどのゴミと誇りの部屋になってしまいました。
いずれもそれ以外は普通だったので、なかなか他人に気がつかれず、確認してびっくりした次第です。
いわゆるセルフネグレクトとは一線を画し、
そのような散らかった環境に囲まれることに何ら問題を感じない
ところに本質があります。
問題意識を感じないので、いくら綺麗にするように、と言っても自分で行動に移すことはありません。
またある方は、普通のご婦人だったのですが、内科系の病気の二次障害でマダラに認知症に症状が出て、その中の一つとして、粗雑な人格へと変化してしまいました。
具体的にはゴミを道端に捨てる、どんな場所でも飲み食いをする、公共交通機関で突然大きな声で他の人に文句を言うなどです。
ただし、内科的な原因は脳が器質的に変化したわけではないので、軸が元に戻ったときには、そのことを注意すると理解していただくことができ、時々に軌道修正しながら、生活をしていただきました。
人格・性格変化を起こしている方々は、見方を変えると
日常生活に関する自制心が弱くなっている
とも言えます。
周りの人は、このような方々に対して、
これは障害なので、
注意して治るものではなく、
できるだけ問題が大きくならないように目配りをしていく
といった留意の仕方が重要です。
言うは簡単で行うは難しいことですが、少なくとも、
高次脳機能障害の一つの障害として、
人格性格変化がある
という認識を
持っていただければ、最適の対処の相方も変わってくるものと思います。